超新星残骸

casa_w11人類は何千年も昔から、突如夜空に明るい星が輝き、まるで新しい星が生まれたかのような現象を見、記録してきました。これは超新星と呼ばれ、現在では星の一生の最後の大爆発であることがわかっています。この大爆発 (超新星爆発) によって、星を構成していたさまざまな元素は一瞬にして吹き飛ばされ、その後数千〜数万年かけて宇宙空間へばら撒かれます。そのためこの爆発は、宇宙に存在する元素がいつどこからどのようにしてやって来たのか、という宇宙の元素合成史を知る上でとても重要な現象でもあります。しかしながら、どのようにして爆発が起こるのかなど、まだ解明されていない問題も少なくありません。玉川研では「超新星残骸」と呼ばれる、爆発後から数千年経った噴出物の高温プラズマを「すざく」をはじめとする日米欧の人工衛星を使って観測し、爆発そのものや爆発前の星、また宇宙の元素合成とのつながりについて研究しています。(写真:©NASA/CXC)
Chandra X線望遠鏡で撮影された超新星残骸

中性子星

Pulsar2_HD_LARGE_QT_Video_1中性子星は、太陽の質量の8倍より重い星の超新星爆発に伴って生まれる、とても小さな星です。どのくらい小さいかというと、地球の半径が6,400 kmなのに対し、中性子星の半径は10 km程度で、だいたい山手線と同じぐらいしかありません。一方で、質量は地球の約30万倍ほどあるため、密度は1立方cm辺り約10億トンになります。中性子星は、これまで我々の銀河の中で2,000個ほど見つかっており、自転周期は0.1 – 10秒程度です。早いものだと、0.01秒で一回転するものもあります。この不思議な星の呼び方の1つに、「宇宙最強の磁石」というものがあります。現在、地球上で 作り出せる定常的な磁場の強さは40テスラなのに対して、中性子星の多くは1億テスラという途方も無く強い磁場をもっており、なかにはそのまた 100倍の、100億テスラという磁場を持つと考えられているマグネターという中性子星も見つかっています。玉川研は、X線観測から、そのような中 性子星近傍の強磁場中におけるプラズマ現象についての研究を行っています。(写真:©NASA/Dana Berry)

活動銀河核 (AGN: Active Galactic Nuclei)

NGC 3227宇宙に散らばる銀河の中心には、太陽の100万倍から10億倍もの質量を持つ巨大ブラックホールが1つずつ存在することが知られています。一家の中心に一匹ずつ、モンスターが潜んでいるわけです。この巨大ブラックホールは周囲に何も無いとおとなしいですが、周りにガスが大量に存在すると、これらを飲み込みながら、ガスの重力エネルギーを光のエネルギーへと変えていきます。その結果、ブラックホールに吸い込まれるガスは、銀河に含まれるおよそ1000億個もの星の総和を上回るほど明るく輝き、「活動銀河核 (AGN)」と呼ばれる天体になります。玉川研では、活動銀河核が放つ様々な波長の光の中で、巨大ブラックホールの近くで作られる光であるX線や可視光を観測し、ブラックホール周辺の時空構造や吸い込まれる直前のガスの状態、巨大ブラックホールが銀河の進化に与える影響などを調べています。(写真:活動銀河核を中心に持つ渦巻き銀河NGC 3227)

白色矮星

hs-2004-27-a-web太陽の質量の8倍より軽い星は、数十〜100億年程度の寿命の間、星の内部の燃料 (水素) を核融合反応で燃やすことで、自らエネルギーを生み出して輝きます。そのエネルギーを使い切ると、星は自ら輝くことができなくなり、星の外層部分のガスは宇宙空間に放出され「惑星状星雲」という美しい模様を残すことがあります。星の中心 (コア) 部分は、最終的に「白色矮星」という、直径が1万キロで質量が太陽の半分程度のコンパクトで星が残されます(地球と同じサイズで、地球の15万倍重い星)。白色矮星は銀河系の星の質量全体の10%程度を占めており、伴星からのガスの流入もしくは伴星 (白色矮星) との合体により、超新星爆発という大爆発を起こすと考えられています。玉川研では、「すざく」衛星やASTRO-H衛星を使って白色矮星から放射されるX線のスペクトルを調べることで、白色矮星の質量を正確に求める手法を開発しています。
(写真: ©NASA, ESA, HEIC, and The Hubble Heritage Team, STScI, AURA)
Hubble宇宙望遠鏡が撮影した白色矮星の周囲の惑星状星雲

木星・土星

木星のエウロパやガニメデといった衛星には、氷の地殻や液体の水の地下海が存在すると考えられています。地下海には地球外生命が存在する可能性があります。衛星イオは太陽系最大の火山を持っており、火山ガスを常に木星周囲の宇宙空間にばらまいています。木星は地球の2万倍もの規模の強力な磁場を持っており、火山ガスはプラズマとなってその磁場に補足され、木星の自転周期(10時間)で木星周囲を高速回転しています。回転する木星の磁場とプラズマは、生命が存在しうる氷衛星を取り囲む宇宙環境として重要だと考えられています。土星も同様の宇宙環境を有しており、エンセラダスでは液体の水の存在が既にカッシーニ探査機によって直接確認されています。

JUICE_Red_Book_i1木星や土星周囲の宇宙空間では、地球の100倍の明るさに達するオーロラや、太陽コロナの温度(100万度)に匹敵する高温プラズマガスが生成されています。しかしそれらの現象が、何によって駆動されているかは謎のままです。木星周囲を回転している磁場とプラズマが十分にエネルギーを供給してくれるのか、あるいは太陽からの高速プラズマ流(太陽風)のような外的なエネルギー源が必要なのか、はっきりしていません。私達は、多様なプラズマエネルギーを反映する、電波、紫外線、X線を同時に用いて木星や土星を観測することで、これらの問題を解決しようとしています。

写真:木星と多様な衛星群。ガニメデ(右上)、エウロパ(左下)、カリスト(右下)、イオ(左中央)と木星(イオの右側)の構造や宇宙環境の概念図 (©ESA、JUICE Red bookより)

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