白鳥座ループ超新星残骸のX線観測論文が受理されました。

勝田さんを中心とする研究グループは、銀河系内の超新星残骸「白鳥座ループ」を日本のX線天文衛星「すざく」とヨーロッパのX線天文衛 星「XMM-Newton」で観測し、中性子星候補を発見しました。白鳥座ループは重い恒星の重力崩壊に伴う超新星爆発の名残であることが、過去 の観測から確実視されてきました。しかし、爆発時に形成されたはずの中性子星は発見されておらず、その不在は長年の謎でした。勝田さんを含む研究 グループは、大きく拡がる白鳥座ループを「すざく」と「XMM-Newton」で10年間にわたって観測し、その全貌を明らかにしました。詳細な データ解析の結果、ループ最南端部に拡がった硬X線星雲とそれに内包されるX線点源を発見しました。そのスペクトルの特徴は中性子星とそれに付随 する星雲と考えて矛盾なく、白鳥座ループの中性子星がようやく見出された可能性があります。もし本当なら、中性子星の位置が爆発中心から大きく離 れているため、爆発時に秒速 1850 キロメートルもの高速で蹴り飛ばされた可能性が高く、超新星爆発の機構を解明する上でも非常に興味深いデータになります。